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土と岩の話 花崗岩とまさ土

花崗岩と風化物「まさ土」

ビルの壁や石垣、墓石等によく見かけられる石に花崗岩(俗に御影石)があります。外観は白~灰白色で黒い粒々があると言えばもうおわかりだと思います。
新鮮な花崗岩はかたく、磨くと美しいので石材として切り出され、広く利用されますが、風化を受けた花崗岩はもろく、ハンマーでた叩けばすぐ崩れてバラバラになってしまします。更に風化が進行すると一部は粘土化し、砂質土状に変質する。これが「まさ土」です。

花崗岩の構造

花崗岩は、地下の深い所で、マグマがゆっくりと冷えて固まる際、マグマから石英、長石、雲母などの鉱物が次々と結晶になってできて互いに結晶を埋めつくしながら、生成されます。
花崗岩は、図-1の顕微鏡スケッチで観られるように、石英、長石、黒雲母の3鉱物の集合体であり、粒状構造となっています。

花崗岩はなぜ「まさ土」となるのか

花崗岩は風化するとなぜまさ土となるのか、ある実験を通じて考えてみます。まず、花崗岩を強く熱したのち、コップの水の中にその花崗岩を入れ急冷します。すると、花崗岩の一部は崩れ、小さい鉱物の粒子が落ちる現象がみられます。
これは、結晶粒子間の結合がゆるみ、割れ目が入って粒子が落ちたものであり、花崗岩は膨張・収縮率の高いという物理的性質がうかがえます。また、粒状構造のため、緻密さに欠け、結合が意外に弱いと言えるでしょう。
さて、こうして分離した結晶は、石英は細粒状にこわれますが、長石、雲母は細粒化とともに粘土鉱物(カオリナイト、イライト、加水ハロサイト、キプサイト)に変化し、砂質土状のまさ土となるわけです。

「まさ土」となるもう一つの理由

上記で述べたまさ土の生成は、一般に地表面からしだいに風化して深部に至りますが、さほど深いところまでは、風化は進行しません。しかし、ボーリングによって、深さ30m以上に及ぶまさ土を確認した例はよくあります。
こうした地下深くまでまさ土が連続する例は、地殻運動による深層風化が考えられ、図-2に示すように地球内部からの強い力を受け、花崗岩が逆入(せりあがる)し、圧砕されてまさ土を作ったと言えます。

参考文献
土のはなし(II):土質工学会